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2006年9月13日 (水)

漫画家の弟子 序言

アレン・セイ

この本は1979年に最初に出版された。それいらい、私は9冊の絵本を描いてきて、そのうち6冊が自作なのだ。拙作を振り返ると、私の創り出す物語は本質的に自伝的だとわかる。これは故意ではなかったのだが、『マンガ家の弟子』はそれを方向付けたのだった。であるから、この私の偉大な師、野呂新平先生へのオマージュが再刊されるに当たって、語り手には本名を与えることにした。日本語で三音節ある「せい」は最後のiがいつも落ちるのだ。私の父は大分前から英語つづりを採用し、長じて私も名前の混成つづりを採用するようになった。
1982年に私は一年生の同窓会のため日本に戻り、25年前に連絡が途絶えていた師が息災であったことを知った。私たちは東京のカフェで会い、昔の日々について語り合った。師は数年前に奥様を亡くされ、子どもたちは家から巣立っていた。兄弟弟子の時田は大阪に帰ってしまい消息はわからなかった。私は先生が絵を描くことは発見することだと、修行の中で教えてくれたことを思い出した。「そしてびっくりさせることだ」と彼はその時、付け加えた。それから彼は私を有名な神社に連れて行った。別れる時、彼は私が偉大な芸術家になるように祈ったと言った。私は先生が長生きするようにと祈ったのだった。
 先年、『おじいさんの旅』が出版された時、出版社から受け取った初版を先生に贈った。 先生の返事。

 本をありがとう。包みを開けた時、息を呑みました。素晴らしい仕事です。私が仕事場にしていた宿屋の屋根を駆け回っていた少年が、立派な芸術家になったのです。来年私は80歳の老人です。でもしばらくは生きて、あなたの芸術が深まるのを注目していくつもりです。

Allen Say, 1994
The Ink-Keeper's Apprentice
Foreword
(訳 堀田穣)

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